SIXX:A.M.
ニッキー・シックス:Nikki Sixx / Bass
DJアシュバ:DJ Ashba / Guitar
ジェイムズ・マイケル:James Michael / Vo
これはあなたの知っているニッキー・シックス──ドラッグの過剰摂取で死の宣告を下された男、その出来事を記憶にとどめるためにモトリー・クルーのヒット曲「キックスタート・マイ・ハート」を書いた男──ではない。これは、モトリー・クルーとともに世界中の会場をソールドアウトにし続け、彼の「もうひとつの」バンド、Sixx:A.M.とともに2008年もっともプレイされたロック・トラック(「ライフ・イズ・ビューティフル」を生み出し、世界的にシンジケートされているラジオ番組『Sixx Sense』を毎日ホストしているニッキー・シックスなのだ。彼はまた、ニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに二度も載った作家でもある(2007年の『ヘロイン・ダイアリーズ』と、モトリー・クルーのバンド仲間と書かれたロックの大作『The Dirt』で)。
2011年になって、シックスは5月3日にDJアシュバとジェイムズ・マイケルとともにシックス:エイ・エムの11曲入りCD『This Is Gonna Hurt』(イレヴン・セヴン・ミュージック)、そして4月12日に著作『This Is Gonna Hurt: Music, Photography, and Life Through the Distorted Lens Of Nikki Sixx』(ウィリアム・モロウ)──彼の革新的著作とレコーディング作品の最新バージョン──をリリースし、彼の日記や発言、初めて印刷される彼の写真をもとに、美と私たちの美の受け止め方、私たちの人間像を探求している。
なにしろこれはニッキー・シックスなのだ。だから、こうした写真はニッキーが撮影し、彼らの物語を語るために丹念に調べた一連のテーマ研究そのものになっている。その物語とは、体重が300ポンド(約135キロ。裸で撮影されている)だったり、身長が7フィート(210センチ。ピンヒールを履いている)だったり、腕が成長していない(あるいは成長することができなかった)、ということについてのものだ。シックスは、そんな個人の打ち明け話を伝え、彼らの物語を自分自身の人生やこれまでの帰し方、世界ツアーの思い出などと結びつけている。レコードでは雄弁な曲「Life Of The Beautiful People」でそのことが紹介されている。その中でシックスは他者を外から内側を覗き込むように観察している。たとえ世界中で8000万枚以上アルバムを売り、モトリー・クルーの最新アルバム「セインツ・オブ・ロサンジェルス」のタイトル曲でグラミー賞にノミネートされ、毎日60以上のラジオ局で放送されているラジオ番組(www.SixxSense.com)のホストを務めるようになっても、彼にとってふさわしいと感じられるのはそうしたやり方であり、場所なのだ。
『ヘロイン・ダイアリーズ』をプロモートしていたとき、シックスはこれまでにやったことのないユニークなツアーに乗り出した。この本のツアーでは、ファンや読者がみんなやって来て、彼に自分の物語を話したり、いかに彼の誠実さやオープンさが自分たちの助けや支えになったかを伝えたりした。それに刺激を受け、心を決めたシックスは、ファンとの相互のコミュニケーションを取り始め、それが60分のシンジケート・ラジオ番組──『Sixx Sense』と『The Side Show Countdown With Nikki Sixx』となり、週6日放送されて、ロサンジェルスやダラス、デトロイトなどでトップの聴視率を誇るまでになったのだ。一日2時間、シックスと共同ホストのケリー・ケイサム(ケイシーの娘)は彼の世界観やその日の出来事の感想について語ったり、新しい音楽を探索したり、人生のあらゆる方面の人物──すべてニッキーが話をしたいと思っている人々──と対談したりしている。オジーとロブ・ハルフォードは最後のオズフェストを発表するために出演したし、トミー・リーとデヴィッド・ヨハンセンはこれから予定されているモトリー・クルーの夏のツアー(ポイズンをフィーチャーし、スペシャル・ゲストにニュー・ヨーク・ドールズを迎えている)について話すためにやって来た。ロック界の王者から月に初めて降り立った男、作家、俳優などなど、各界からのゲストが登場して、未公開情報を初めて披露する番組という側面を付け加えた。ツイッター(twitter.com/nikkisixx)やフェイスブック・アカウント(http://www.facebook.com/nikkisixxofficial)、そしてフェイスブックでの彼の会話や交流、ディベートなどは、彼とファンとの個人的な関係を証明している。
シックスは1989年に初めてカメラを手にした。彼は『ザ・ヘロイン・ダイアリーズ(The Heroin Diaries: a Year in the Life of a Shattered Rock Star)』に記録したおぞましいドラッグ中毒を乗り越えてシラフになったばかりで、写真がきわめて刺激的だと気づき、それがまた彼にとっての新しい中毒──もちろんポジティブでクリエイティブなものだが──になったようだ。『This Is Gonna Hurt』の説明によると、「他の人々が恐ろしいとか、ムカつくとか,不気味だとか思うようなもの」を撮影し始めた彼だが、その下に隠された美しさをとらえたいと心に決めた。最終的に、たんなる写真集とは違う、はるかに大きなものを彼は作り上げた──それは誠実さの証であり、生き延びることであり、もっといい人間になろうとする努力そのものなのである。
Sixx:A.M.のバンド仲間について、シックスは断言する。「オレたち3人は逆境のおかげで得をし、のけ者として後ろ指を指されてきたことで得をした。たとえつらかったとしても、それがいい結果をもたらしてくれたんだ。リスナーも、いかに自分が人を批判したり人から批判されたりしているか聞くのはイヤなときだってあるかもしれない。DJとジェイムズとオレが全員で人の意見を聞いたとき、オレたちは言ってたんだ『こいつはイタイぜ。こいつは生易しくないぞ』(笑)。だけど、それを知るのは素晴らしいことだったよ」
シックスは最近こうした気持ちを身をもって思い知らなくてはならなかった。タブロイド紙がキャット・ヴォンDやデニース・リチャーズのような女性たちとの関係について書き立てたからだ。かつてそのロッカー的なルックスとライフスタイルのせいでニッキー・シックスを糾弾した雑誌は、彼がほんとうはどういう人物かについてスクープしようとしてきたが、当のニッキー・シックスはもっと成熟していてそんなものを軽くやり過ごしている。「オレだって人を批判して来たよ」と彼は言う。「ゴルファーとか、ドッカーズを着た男、ビジネス・ヘアカットの男なんかを見て、連中を蔑んでいた。今は人となりで判断するだけだよ。だいたい人を批判するなんて何様だ? オレは郊外に住んでる。それを笑う人たちもいる(笑)。4人の子持ちで、32年型のフォード・ホットロッドを運転し、いまだに飛び出しナイフを持ってる。メイクアップして、ビリビリに裂けたレザーパンツを履いてる。そして、なれる限り最高の男になりたいと思ってる。オレは"美しい人々"と呼ぶ人もいれば、"頭空っぽのセクシー女"と呼ぶ人もいるような女たちとデートする。そして堂々と『君たち、まだ彼女らには会ったことなかったっけ?』って言うのさ。だって、オレを信じるなら、オレが外見で選んでいるんじゃないってことも信じるべきだからね」
「メチャクチャ死のうとしていたけど、今は生きようとして必死にもがいてるみたいな感じさ」シックスは自分の人生の新しい一章について語る。「生きていたいんだ。メチャクチャ人々を刺激したい。死の素晴らしいところは、いったんそいつに直面したら、もうそれを恐れなくなることだ。今のオレは、自分の人生をもっと良くしたいし、新たなチャレンジに取り組んでいきたいっていう気持ちでいっぱいなんだ」
グラミーにノミネートされたベテラン・ロック・アイコンでラジオのホスト、ニューヨーク・タイムズのベストセラー(モトリー・クルーの『The Dirt』と一作目で二度)、ロイヤル・アンダーグラウンドの服飾デザイナーであり、博愛主義者(http://www.covenanthouseca.org)、そして20年以上王者として君臨して来たバンドのレコーディング・アーティストであるニッキー・シックスは、4人の子供の父親でもある。